軒先のはなし
昨年、事務所を広いところへ借り換えた。この借り換えではかなり思い切って、あと10名ほど余計に採用しても問題のない広さの場所を借りたのである。その後、採用も思うようには進まずに、結局わりあい広いスペースが空きっぱなしになっている。
▽ 先日も翻訳をやってくれている外国人が来訪したおり、
「やぁ広いね。卓球台は? どこ?」
などと冗談を言われた。
■軒先を借りている人
弁護士の世界でいえば、事務所を経営する経営弁護士を「ボス弁」、その下で勤務していて「ボス弁」から給料を貰うサラリーマン弁護士を「イソ弁(居候弁護士の略)」※という。さしずめ私などは、
弁理屋版の「イソ弁(理屋)」
なのであるが、どうやら弁護士業界では、司法人口の増大とともに、勤務先のない弁護士が登場しているらしい。
※多数説に合せました。
日弁連あたりでは事態を重く見てか、事務所の机と電話だけを貸してもらい、あとは独立採算でやる形態(つまりボス弁から給料が出ない)もあると、新人弁護士に紹介しているらしい。こういう形態を事務所の軒を借りているということで、
「軒弁(ノキ弁)」
というそうである。
この「軒弁」体制の意味のわからないところは、この「軒弁」氏が一体全体どこから仕事を貰ってくるのかということである。自分で仕事を採ってこれるのであればそれはマンションの一室とか自宅でも構わないから一応自分で開業してしまった方が「ボス弁」取り分がないなどいろいろ良いような気がする。
それでは先輩弁護士からの指導が得られないじゃないか、という話もありそうだが、しかしながら「軒弁」、特段事務所から給与などを貰っているわけでもないし、軒先分の「賃料」を支払っているだけなのであれば、軒を貸しているボス弁としては指導をしてやるいわれもないわけである。それとも指導くらいはされているのだろうか。
なお、仮にボス弁から仕事を貰うとしても、いわば下請けになってしまう。つまりは責任は増大するわりに料金はボス弁が「天引き」した後の価格になるわけで、相当理不尽な環境に置かれるケースがないとはいえないとおもうのだが。実際にこんな環境で仕事している人があるんだろうか。
■特許事務所の運営経費でいえば、最大規模なのが一般的には人件費と事務所(不動産)の維持費ということになるのではないか。そういう意味では弁理士ならば「軒弁」が可能かも知れない。ようは、不動産を複数の弁理士で支えるわけである。そして各弁理士(または弁理士群)がそれぞれ独立採算制を採ればいい。
言いかたを変えれば、共通経費分を分担する複数事務所が寄りあう形である。基本的には個別にできる仕事が多いはずだから、普段は各事務所間であまり干渉することはない。しかしながら件数があふれたときには他の事務所へ下請けに出すなどの対策も考えられる。事務部門まで共通化するとムリがありそうだが、少なくとも事務機器(メンテ代がバカにならない)や書籍、会議室やシステムの維持費は共通化できるのではないか。しかも弁理士にとっても、顧客にとっても(弁理士複数人体制のメリットがあるので)メリットがあると思う。
…とは思うのであるが、あまりこの種の事務所を見ないのは、やっぱり何らかの問題があるからなのだろうか。明細書の均質化の問題? いやぁ、違う気がするなぁ。
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コメント
私の知人の弁理士が2人、各々独立採算ということで共同で事務所やってましたが、1年くらいで喧嘩別れしちゃいましたね。
この業界、個性(アク)が強い人が多いってのと、仕事の多寡で上下関係が生まれるってのがあるみたいで、よほど力が均衡してしかも気が会わないと、うまくいかないみたいですね。
まあ、相当変わった人(相手もパンチが効いている)ですので、例として適切かどうかはわかりませんがw
私も独立してみたいような、このまま雇われ人で良いような・・・
投稿: | 2007年5月15日 (火) 22時56分
コメントありがとうございます。
そうですかぁ。なるほどなぁ。売り上げに大きく差が出てしまうと共通経費といっても負担分などでモメそうですね。
たしかに業界、アクの強い人多いですし(と、自分のことは棚上げしてみる---私はそれほど自覚症状がありません。もしかしたらそれだけ重篤かも知れません)、珍奇な組織体系だとムリがあるかなぁ。
しかしながらいっぺん弁理屋になったからには、独立してみないと何にも分からないなと思っておりまして、いまのところ、私としては独立志向派です。歳いってからだと大変そうだし、今のうちかなぁ。
投稿: ntakei | 2007年5月16日 (水) 10時11分