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2007年4月10日 (火)

[弁理士試験]一次試験07

特許庁のウェブページに弁理士試験委員の公告がでてくる季節になりました。この時期になりますと、一次試験のことが少々気になってきます。

▽ 一次試験については、ここしばらく書いてないので、久しぶりに取りあげてみましょう。

■一次の勉強時期
 旧試験制度では、一次試験といっても結構な難関でした。正解枝を選択する方式の試験であることには違いありませんが、用意された解答枝の中に正解がない、とする「ゼロ解答」がありましたし、そもそも合格率がいまより大分低かったと思います。しかし、そんな試験でも、準備は5月の連休のころからというのが一般的だったと思います。むろん、私のように一次がニガテ、という場合はもう少し前から準備はしていましたが、本格的な勉強は連休くらいからでした。

■勉強方法・はじめの一歩
 いちおう、以前にも書いてきたことですが、再録しますと、一次試験の基本的な勉強法は過去問を元にした条文チェックポイントの洗い出しです。

昨年3月5日の記事(http://ntakei.cocolog-nifty.com/pam/2006/03/post_7248.html)で、

 過去問を解いていくとき、全部の枝について総当たりで、そしてその問題にあなたが正解できたかどうかに関係なく、何条のどの文言の問題かをマークしていくのだ。要は出題された文言にマークをすることにあるので、間違った問題だけマークしていくのは間違いですっ。

と書いた通り、一次試験の基礎的な勉強法は、過去の出題に係る条文等を頭にたたき込むことにあります。このとき、四法対照式(例えば産業財産権四法対照法文集〈平成19年度版〉)や、青本(工業所有権法逐条解説)は欠かせません。また、最近では青本の発行が法改正に追いついていないので、改正本(例えば産業財産権法の解説―平成18年意匠法等の一部改正)なども必要でしょう。

特に今年は特許・意匠・商標と改正がめじろ押しです。特許の部分では、先月発表されたばかりの審査基準で単一性の要件や補正要件の改正などをよく読まないと理解できないことも多いでしょう。また分割出願時期の改正も一次試験的で要注意です。
 意匠では関連意匠の出願可能時期や、部分意匠精度の保護拡充、秘密意匠とすることの請求時期など一次試験的な改正点が数多いので、要注意と言えるでしょう。商標も審査基準にかなり改訂があるようです。

 ですので、特許や商標などでは、念のために、審査基準(例えば商標審査基準)なども参照しておく方が無難でしょう。改正本のPDFファイルや審査基準は特許庁のウェブサイトからダウンロード可能です。しかし、実際に持ち歩いて眺めたり、ペンでマークしたりするのには本になっているほうがいいと思いますが。

 ペン---そうなんですよね。最初、勉強を始めたころは、マークをすべき位置もよくわからないことが多いんですよね。徐々に勉強が進んでいくと、マークするべき部分がはっきりわかるようになるわけですが。そこで、こんな事態に備えて(?)お勧めなのが、鉛筆をつかってマークをつけていく方法です。特に「消しゴムで消せる赤青鉛筆」を使うことにすれば、目立ちますし、悪くありません。最初のうちは青色のような地味な色でマークしていくと、例えば後の試験でマークしたくなったときに困りません。後の試験ほど目立つ色でマークしていけばいいからです。最初から蛍光ピンクなどで線を引いたりしますと、後で消せないし、最初に勉強した個所が目立ってしまって、条文集などをもう一度買う羽目になったりします。

 この鉛筆、アマゾンでは扱いがありませんね。三菱のK2451(赤)とK2453(青)なんかがそうなんですが。

■勉強方法・二年目以降
 一次合格を経験した二年目以降の勉強では、過去問などは早めにさっさと済ませてしまうことができます。むろん、昨年までの作業(条文の図式化や準用条文の整理表など)や記憶が蓄積していることが前提ですが。
 そして連休から青本や改正本の読み込みなどの作業に入れば、記憶のリフレッシュに最適です。

 一次試験の会場では、例えば以前ならば、大きいサイズのバインダーを何冊も抱えてやってきて、試験前にガチャガチャいわせながら眺めている人がいたものです。随分資料を集めているなぁ、と最初の頃は、すげぇなぁと思っていましたが、受かる頃になりますと、そういう人は気にもならなくなりました。

あんなに資料集めするだけの時間をかけてまだ受かってないんじゃ、実力のほどが知れている

のです。勉強をしている自分の姿に惚れ込んではいけません。そんなのは何の意味もありませんから。

■油断はしないで
 数年続けて一次に合格している人の中には、だいぶ一次に対する感覚が緩んできて、

そんなものか

惰性で合格してしまう人がいます。一般に優秀な人なのですが、そういう人は、油断禁物と再度気を引き締めてください。昨年受からなかったつもりで…と、いっても難しいでしょうから、二次試験の勉強にも資すると言い聞かせて一次の勉強に取り組んで下さい。事実、一次試験の勉強が二次でまったくムダになるわけでもありません。

□青本:

□四法対照:

□改正本のたぐいは、「弁理屋のご紹介」を参照してください。

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コメント

弁理屋さんはじめまして、(やや)新米の弁理士でございます。
いつも楽しく拝見しています。
さて、いきなり私事で恐縮ですが、うちの事務所は外国出願が非常に少なく、そのせいもあって、私は弁理士なのにほとんど国内業務しかやったことがありません。
また、事務所がそういう状態なので、周りに語学の出来る弁理士がおらず、どうやったら、特許英語(?)が効率よく身につくのか見当がつきません。
みなさん、特許翻訳講座等に通って身につけられるのでしょうか?
英語に堪能な弁理屋さん(大学で鍛えられたとのことですが)に、他の弁理士さんの体験等も交えてコツなど教えていただきたいです。

投稿: 我も弁理屋 | 2007年4月10日 (火) 21時43分

はじめまして。同業者さんですね :)
コメントありがとうございます。

えーと、出願系で必要な実務英語としては明細書英文と、コレポンくらいではないかと思います。

明細書英文については、個人的には外内を多数こなすのが一番の勉強ではないかと思っています。私自身、国内の某中堅事務所時代に、外内出願を随分やりましたが、その経験はいま、活きていると思います。

コレポンについては、独立前に事務所からコレポン集をコピーしていったという人もいるようですし、書籍もいろいろあって大変なんですが、私の場合、大きな声では言えない(でもないか)ですが、アンチョコ集が出来てまして、基本的にはそれらの組み合わせで作れてしまいます。非常時にはそれなりにキビシイ英語にすることもありますが、そういうときには、ニュアンスを伝えてネイティブに翻訳を確認して貰います。そのフィードバックでまた蓄積をつくる…という割合地道な作業が必要じゃないかと思います。

私個人としてはそんなものですが、他の弁理士の方でこんな方法が、というのがありましたら、私もお伺いしてみたいですね。

投稿: ntakei | 2007年4月11日 (水) 00時08分

(やや)新米弁理士です、御返事有難うございます。
結局、地道に実務経験を蓄積させていくしかないんですかね。
とりあえずは、数少ない外国案件を大事に処理していこうと思います。
これからも、実務をからめたお話を拝見するのを、楽しみにしています。
それにしても、訴訟も、付記試験には通ったのですが、かかわるのはずいぶん先になりそうだし・・・なかなか経験を積むチャンスがありませんねえ。

投稿: 我も弁理屋 | 2007年4月11日 (水) 21時40分

(やや)新米弁理士 様 …でよろしいのでしょうか。

外国業務ならこれを読め、みたいな本があると便利なんですが、なかなかそういうものは…。
「新・拒絶理由通知との対話」のエイバックズームでは、特許翻訳の講座をやっているようですが、特許翻訳というのと弁理士の外国業務というのは微妙に違っているように思うんですよね。無論、ある程度、英文くらいは読めないといかんのでしょうけれども。

実務的な側面で接する機会がない場合は、パリ優先で入ってきた明細書と、対応米国とを比較するというような勉強方法はあり得ると思います。案外モノスゴイ翻訳に出会うこともあります。こういうものについては、実例をご紹介したいのですが、いろいろと弊害が…。

投稿: ntakei | 2007年4月12日 (木) 01時45分

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