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2007年3月15日 (木)

[弁理士試験]論文作成術(1)

論文式の試験には、どれも目的というものがあって、この目的をはずして受験したのでは、的外れな解答しかできないのは言うまでもない。しかし案外、この目的を理解しないまま解答する解答者が多いというのも、例えば「昇格する!論文を書く」において宮川俊彦氏が言う通り。
なお、論文の採点方法について、比較的オープンな意見が、「弁理士受験新報 No.25(2007.1) (25)」に書かれているというので、一応、ご紹介まで。

▽ 論文の記述方法の話題を出そうと思っていろいろ考えていたのだが、そもそも法律論文以前の問題として、目的に沿った題意の抽出や、論述項目を列挙できない人が多いのではないかと考え始めた。そこで論文の記載方法については数回に分けて書くこととして、まずは論文の具体的記述以前のことを書いてみたい。

■論文試験の目的
 弁理士の論文式試験の目的については、特許庁が自ら述べている。いわく、

工業所有権に関する法令についての知識を問う

という。このことからしても、法令について自己の見解を述べたりする場ではないことがわかる。単に、知識を問うているだけなのである。

■合格しない論文の典型
 以前、「論文に受からない話」としてご紹介したが(http://ntakei.cocolog-nifty.com/pam/2006/week24/index.htmlの最後の記事)、絶対に受かる論文の書き方というのは難しくても、絶対に受からない論文の書き方というのは確実に存在する
 上記の記事では3つほど挙げているが、ここで敢えて再録するとすれば、問題に対して答えていない答案というものを挙げたい。上の記事では、「知っていることに持ち込んでしまう答案」として書いてある。
 まず、こういう答案を作成する人は、問題文をナナメ読みしている。例えば平成18年度の特許の(1)の問題を見て頂きたい。問題文は特許庁のウェブページでダウンロード可能である。
 このうち(イ)の問題についてナナメ読みすれば、これは願ってもないほどの易問で、単に早期審査や優先審査を説明するだけのことになる。
 (ロ)については、権利が設定されたならば、特許権に基づく権利行使を書くことになるわけで、従って金銭支払というのは要するに損害賠償請求のことだろうと想像される。一方で損害額の算定は考えなくていいというので、民法709条あたりの要件を拾えばいいのだな、と考えていく。これはふつう勉強しているわけで、
 故意・過失、損害の発生、その他の要件を列挙しておしまい。
 と、こうなる。
 「論文好き」の受験生だと、さらに過失推定などの規定を持ち出してみたり、損害の発生が本当にあるかどうかなどを問題文に即して分析してみせたりする。

というのが、受からない論文の典型である。

■問題文の巧妙さに気がつく
 しかし良く読めば、問題文の前提を説明する文章で、「請求項1のみ」となっているのは何故か。また、実施可能要件について殊更に書いているのはどういう事情かと気になることであろう。また、(1)の「柱書き」部分で、乙の販売開始時期が特定されていることにも注意がいく。そうすると、出願から6月経過前とあることについて、これが何故かと考えたくはないだろうか。
 6月。それは普通に置いておけばどうあっても公開されない期間なのである。
 従って、6月というところにピンとくれば、

公開前ということがいいたいのか?

というメモがつくはずだ。
 その目で(イ)の問題をみると、「早期に権利を発生」とある。「権利」とは特許権だけであろうか。そうではない。公開がされたならば補償金請求権というのもある。したがって、公開の請求というのも挙げておくべきことになる。
 ただし、特許を受ける権利を述べる必要はないはずだ。ロジック自体がおかしくなるし、問題文全体をみても、冒認であることを記載させるためのヒントがないことでも分かることだ。これを書くと減点になるだろう。
 一方で、(ロ)では、「権利の設定の登録」と来ているので、これは特許権(または実用新案権)が発生したとわかるようにできている。論文試験の問題というのはよく読むと実に巧妙にできているのである。そして(イ)で補償金請求権が挙がっていれば、「金銭の支払の請求」には補償金の請求というのも含むことに気がつくことであろう。警告のこと、特許権との二重取りは許されるのか否かの問題。そして、それと平行して損害賠償請求がある。従って、記載項目は多岐に亘ることになり、わりと忙しい問題だとわかる。論点を詳しく分析する余裕はない。従って特許権と補償金請求権との二重取りについてはカンタンに、「補償金請求権の行使によって、特許権の行使が当然に妨げられるものではない」とだけ書けばよい。おそらくなくても構わない記述だが、保険にはなると思う。

■とにかく問題文に現れている語句が、法律上どういう意味をもっているかを丁寧に解釈すること。ここが論文のスタートポイントである。特に最近多い事例的な問題では、この問題文分析がほとんど必須である。ナナメ読みで論文は書けないと思って頂きたい。
 この続きは、また来週以降にでも。

□とくに弁理士試験向きではありません。どちらかというと企業内での作文試験用です。ただし、趣旨は共通するところがないこともありません:

□弁理士受験新報。最近は、内容が随分充実しているんですかね。この特集などはなかなか参考になりそうです:

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