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2007年3月22日 (木)

事務の人

特許事務所の新規採用は、一般企業と違って、だいたい11月ごろになる。というのは、弁理士試験の合格者がこのころ分かるからである。むろん一般事務だとか、補助者(いわゆる技術者)などは事務所の人手が不足した時に随時募集される。

▽ 多くの事務所では、事務仕事を専門のスタッフに依存し、弁理士や補助者は明細書作成などの技術的な側面に特化しているのが現状である。

■事務仕事の内容
 では、そうした事務の人たちは何をしているのかというと、それはもう雑多なので書き尽くせない。例えば、弁理士らが作成した明細書草案などをクライアント宛に発送する。この作業は単純に見えて、A社の案件を、別のB社に送ってしまったらもうそれで事務所としてはアウトなので気が抜けない。ついでにいうと、特許願(願書)の作成のときも、クライアントを付け違えたらえらいことである。これも気が抜けない。
 また、請求書の発行も、多くのばあい、事務の仕事になっている。アワリー(作業時間での請求)になっている場合、事務の作業時間も加算したいと思うことだろうが、実際にはこの部分を請求できないのが現状である。
 そして事務の仕事の大きな部分を占めるのが案件管理と、期限管理である。ことに期限管理は、期限徒過が事務所の生死に関わる一大事なので、きわめて重要になる。ごめんなさい、では済まない事態が出来してからでは遅すぎるのだ。

■事務にむかない人たち
 雇用の側面からみると、こういった仕事をする人たちに共通して持っていて欲しい技能というのは、基本的に見落としなどのミスが少ない人であること。そしてミスが発生したときに、それに早期に気づいて報告をくれる人であることだ。
 従って見直しなどを苦にしない人がいい。また、ルーチンワークに見えて実はいろいろ工夫のしどころがあるので、技能の習得を喜ぶ人であったほうがいい。そしてなにより作業一つ一つが丁寧であることが肝要である。

 たとえば、修正点に付箋を貼る作業ひとつとっても、修正されているポイントと付箋が貼られている位置が揃っている人とそうでない人とがいる。むろん、後から書類を受け取る方からすると、付箋が修正点の近くにあるほうが見やすいのだが、そんなことは知らん、といわんばかりに一定の位置に付箋を貼り続けたり、ひどい場合はナナメに貼ってあったりする。何か意図があってナナメにしているのかとおもいきや、単にいきおいでナナメになっただけのことなのである。

 付箋と同じようなものに、見出しタックがある。これも書類を閉じたときにキレイに揃っているように付けてくれる人があれば、どこをどうしたものか、バラバラに貼ってあったりする人もある。極端な場合、タックのはみ出しの量が違っていたりする。タックには基準となる線があるので、そこへ揃えそうなものであるが、そこは気にしないという豪快な人がいるものである。

 さらに線を一本引くについても、紙の縁に平行に引けるひととそうでない人とがある。例えばノートに罫線を引いて、表をつくる場合、ノートの上下には目安となる点や短線が引いてあるのだから、それを頼りに平行な線がいくらでも描けるものを、ここも豪快にナナメに線を引いてくれる。

 こういう方は基本的に短絡的で、「線を引いてくれ」→「引いたよ」という考えになっているのだと思う。単に線を引くといっても、どういう目的のものにしたいのかによって引く位置や線種、ペンで描くか鉛筆のように消せるものにするか、などいろいろあると思うのに、使う人のことは考えに浮かばないのであろう。

 こういう人は、特許事務に(いや、普通の事務にも)向かないであろう。ただし、こういう性癖は修正が効く場合がある。

■というようなことを書き並べてみたが、ちかごろでは弁理士や技術者のなかにも、こういうことに無頓着な人が増えている気がしなくもない。例えば図面の下書き一つとっても、フローチャートの線が歪んでいても知らんぷりだったり(多少のゆがみはいいのだが、要素を結ぶ線分が一々違う角度でナナメだったりして気になっちゃう)、トレーサーや出願時の取り込み(出願のときの電子化のためにスキャナで読み込むこと)の条件を考えずに、A4用紙一杯に(極端な場合B4を取り出してそれ一杯に)図面を描いたりする。
 微妙に気になっていたりするわけだが、そこは他山の石。自分だって、きっと何かやらかしているかもしれぬ。ときおりは事務からカミングアウトしてもらうことにした方がよさそうである。

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