« [弁理士試験]商標法案内(4) | トップページ | 乱読日記[47] »

2007年3月19日 (月)

変ワルナ。

キリン・クラシックラガーの宣伝をテレビで見たのは、先週あたりで、YMOが登場しているバージョンを(テレビで)見るのは初めてだった。もとより、インターネット上で公開されているCMビデオは眺めていたし、iTunes で Rydeen 79/07 は、購入済みだったのだけれど。

 iTunes Store(Japan)

▽ CM自体のコンセプトや妙な衣装で演奏している彼らの映像の良否は別として、ぼくの目を引いたのは、使っている楽器が古そうなことである。

※公開の時間設定を間違えていました。失礼しました。

■iTMS でダウンロードした Rydeen 79/07 をよく聞いて見ると、プロフェット5で作ったような重厚な単音が巧妙に組み合わせられている印象がある。プロフェット5などは、ぼくのような貧乏アマチュアに買えるような額のしろものではない。骨抜きになったPSE法案の特別承認制度を利用して、中古で買うならなんとかなるかもしれないが。

□ちなみに、あのPSE法案のごたごたの結果、ビンテージ楽器についてはどうなったかというと、経産省から承認を受けた事業者が、取り扱いに慣れた者に対して説明をしたうえで販売し、その販売の状況を記録していれば、PSEマークなしに販売してもよいということになったようだ。イシバシ楽器などではとっくのとうに買い取り・販売を再開しているわけで、ことビンテージ楽器については、大山鳴動してネズミの一匹もでなかったというような状況かと。

■従来使われてきた楽器とちがい、電気的に音声を合成するシンセサイザは、倍音の組み合わせを調整して音色を変化させる。例えば、真ん中のラの音(A3)は、いまは(昔は若干低めであったが)440Hzの音である。時報の最初の3つの音が440Hzになっている。
 しかしながら、例えばトランペットのラの音には、440Hzの音以外に、その2倍音である880Hzの音が含まれている。この880Hzの音は時報の最後の音、1オクターブ高いラの音である。さらに、3倍音である1320Hzの音も含まれているし、4倍音、5倍音…と、高次の倍音も含まれているわけである。
 こころみに、単純な音である440Hzの音というのを概念的に表してみると、それはsineカーブ、つまり音の大きさをy、時刻をxとして、y=sin(x) で表されるカーブになる(図1)。

0703191

図1.サインカーブ

次に、2倍音(880Hz)を、基音(440Hz)の半分の量だけ混合し、以下、3倍音を基音の1/4、4倍音を基音の1/8だけ混合していくと、鋸歯状波に近づいていく。一般化して難しく書けば、n倍音を、基音の1/2^nだけ混合して、どんどん足していくと鋸歯状波が得られることになっている(4倍音までの加算結果は図2)。

0703192

図2.鋸歯状波への道

 こうして倍音の加算で音を合成する方法を加算法というらしい。しかし、この方法では、基音のほか、各倍音をつくる発振器が必要になる。例えばn個の基音・倍音を足しあわせたいならn個の発振器が要る。ということは、発振器をダブらす分だけコスト高になる。
 一方で、鋸歯状波をつくる発振器というのは設計できるし、矩形波をつくる発振器も作れる。というわけで、倍音を含んだ音を先につくっておいて、フィルタで要らない倍音をカットする方式(減算法というらしい)が、コスト的にも見合ったものになるし、加算法より自然な音になるらしく、この方法が主流になった。こうしてシンセサイザは、

 発振器(VCO)→フィルタ(VCF)→アンプ(VCA:増幅器)

(VCは、Voltage Control、OはOscillator、FはFilter、AはAmplifier)
という組み合わせで作られることになったわけだ。発振器の発振周波数を音程の周波数に合わせれば、楽器のできあがりだ。フィルタでカットする周波数を調整すれば、どの倍音までを含む波にするかを調整できるから、音色もそれなりに変わる。ちなみに高次側の倍音をカットするのが一般的で、したがって、このフィルタは、LPF(低域通過フィルタ)である。

 もっとも、ただ単純に高次の倍音になるほど混合量を少なくすればいいわけでもなく、カットする目安になる周波数の近くの倍音だけちょっと多めにすると、また音色の幅が広がるので、そのための機能(レゾナンス)を含めることが多い。

 そして音量。ピアノのような音は音の始まりからいきなり大きな音となり、引き続けている間、音が適当に持続し、鍵盤を放すと余韻を残しながら減衰する。バイオリンの場合、音の始まりから徐々に音量が上がっていって、弾いている間は音量が持続する。こういう音量の時間変化の傾向をつけるため、鍵盤を押したタイミングから放した後のタイミングまでの間の音量を時間的に変化させる「エンベロープ」という機能がある。エンベロープでは、音の始まりから最大音量になるまでの時間(アタック・タイム)と、一定の音量に落ち着くまでの時間(ディケイ・タイム)と、一定の音量の値(サステイン・レベル)と、音の終わりから減衰していくのにかかる時間(リリース・タイム)とを定める。それぞれの頭文字をとって、ADSRと呼ぶ。

■発振器は当初、アナログ式の電圧制御発振器(VCO)だったのだが、温度補償が大変だったこともあり(携帯電話機などに内蔵されている水晶発振器ですらTC(温度補償)が欠かせない)、まずは、この辺りからディジタル発振器(DCO)に変わっていった。
 その後、音色の制御自体、サインカーブのパラメータを別のサインカーブで変調し、その変調を組み合わせる方式(FM音源)がもてはやされ、さらにサインカーブ以外のものまで変調させるAFM方式が開発されるに至る。音色の制御が根本から違うわけで、昔の音を出したい時には、やっぱり昔の機械を使わないと難しいのだ。音量の時間制御の面でもいくつかの方法が現れては消えているようだが、こちらはもとのものの亜流方式が栄枯盛衰しているような気がする。もっとも、最近は楽器を弄らなくなって久しいので、もしかしたら新方式があるのかも知れないが。

■時代、時代での変化はあるが、真価のあるものは、時代の変化によらずに一定の評価を受け続ける。キリンラガービールがそういうものかどうか、私にはビールの味の真価など評価する資格はないだろうが、YMOが作り出すプロフェット5の音は、やっぱりいい音であった。

|

« [弁理士試験]商標法案内(4) | トップページ | 乱読日記[47] »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/165428/14312874

この記事へのトラックバック一覧です: 変ワルナ。:

» しょこたん驚愕の腐女子アイドル登場 [お得な情報多数掲載!!]
すげー女がいた」 ブログ女王、しょこたんこと中川翔子ちゃんにそう言わしめたという。 [続きを読む]

受信: 2007年3月19日 (月) 20時05分

« [弁理士試験]商標法案内(4) | トップページ | 乱読日記[47] »