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2007年3月16日 (金)

[弁理士試験]商標法案内(4)

前回までは、論文の話題を絡めながら商標法における商標観念というものを眺めてきました。今週から、論文記載法(本当は記述法とした方がよかったな)は、別論に移し、こちらは商標法の規定にフォーカスを移していきたいと思います。

▽ 念のため、振り返ってみますと、商標法では、マーク部分である標章をまず規定します。そして商標とは、標章のうち、商品や役務について使用するものとして定義をしていきます。従って商標は、マークと、指定商品・指定役務と、という2つの柱からなる概念であることになります。ここでいう商品や役務というのは、日常用語の商品とはちょっと違っており、例えばノベルティグッズなどが除かれるのだ、というのは先週の話題でした。

■商標としての適格性
 また、先週までの間に、商標の基本的な機能として「自他商品の識別機能」というものがあるといいました。従って自他の識別に役に立たないものは、登録して保護する実益がないということになります。そもそも基本機能を発揮しないんですからね。商標としての適格性に欠けるわけです。青本(工業所有権法逐条解説)の3条の解説には、こんなことが書いてあります。

 (次の4条も)登録要件ではあるが、本条は自他商品・自他役務の識別力あるいは出所表示機能というような商標の本質的機能を問題にした、いわば商標登録にあたっての商標としての一般的、普遍的な適格性を問題とする…

その、第3条です。

第3条(第1項) 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
1.その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
2.その商品又は役務について慣用されている商標
3.その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
4.ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
5.極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
6.前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

 第1号は、普通名称そのもの。例えば「Tシャツ」という商品に「Tシャツ」という商標をつけても「そりゃそうだろうよ」と。そのTシャツをA社がつくろうが、B社がつくろうが、「Tシャツ」に「Tシャツ」という名前だけだと分からないわけです。前回買ったのの商標がTシャツだったから、といって店にいくと、どれだってTシャツなので、前回買ったものと同じメーカーのTシャツを選ぶためのキーにならないんです。こういうわけで、自他商品の識別力がない典型が「普通名称」ということになります。この普通名称には、略称や俗称などが含まれる、というのは審査基準に記載のある通り。
 以下、各号については審査基準の記載等を参考にして頂きたいのですが、3号以下は、一般に識別力がなさそうなものを規定しているだけですので、仮に例外があったら困ります。というわけで、2項で手当てがしてあります。もっとも自他商品の識別機能の獲得は使用の結果に限定されていますが。

■登録適格性
 さらに商標としての適格性を有していても、登録の適格性があるかどうかが問題になってきます。そのための要件が4条に規定されています。
 4条というのは覚えにくい規定の一つですが、片っ端から記憶しておかないといけません。内容としては、公益のために登録させるべきでない商標(1号から7号、9号、16号)、私人に独占させるべきでないもの、他人の商標と関係するもの、そして商品等の質の誤認などといったものなど、様々ですので、複数の観点で分類して眺めつつ、4条1項の各号を記憶してしまって下さい。
 なお、公益的事由というのは絶対的で、他人からいかなる許諾があったとしても登録は受けられません。こういう意味で「絶対的不登録事由」という人もいます。対極にあるのが除斥期間などが設けられている(47条)、4条1項8号、11から14号、10号、15号などがそれで、相手が認められれば使用できるもの。その意味で「相対的不登録事由」とも呼ばれています。
 これら各号は、つぶさに見て行くと、いろいろ興味深いのですが、ここではさて置きます。

■審査基準
 これら3条、4条の条文を勉強するには、青本の解説と審査基準とが欠かせません。審査基準は、
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/syouhyou_kijun.htm
にPDFファイルがありますが、まとまった本(「商標審査基準」)としても購入できます。また有名な商標弁理士が解説をつけたものもあります。この審査基準からは、とりあえず各号の解説文を抜き出して四法対照式にまとめつつ書き写しておくと、わりと効果的かと思います。

□商標審査基準関係:

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