« 先が見えない時代 | トップページ | 「典型」のかたち »

2007年2月 9日 (金)

[弁理士試験]特許法案内(23)

近ごろのPCTの規則改正については既に2006年3月号のパテント誌で紹介されていますが、このPCTの規則改正に合わせて国内法の整備が現在進行しています。

▽ と、こんな風に「PCT」という語をいきなり使うと、論文で注意しろ、と怒られたものです。なんでもおじいさん弁理士には「PCT」の語には違和感があるので(合格当時制度がなかったので)、「特許協力条約」と一旦書いてから「(以下、PCTという)」と書くべきだ、というのです。

さて、特許協力条約(以下PCTという)の国内移行に係る規定を見てきたのですが、ここから先は下り坂(要するに簡単な規定ばかり)ですので、今回で184条関係から脱却したいように思います。
184条の11は、在外者の特許管理人の特例というもので、

国内処理基準時までは、特許管理人によらないで手続できる。ただしその場合は、国内処理基準時の属する日後、経済産業省令で定める期間内に、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出ることになる。届出ないと国際特許出願は、取り下げみなしとなる。

ということです。184条の12は、国内移行での補正可能な期間を述べたもので、

日本語出願の場合は 国内移行書面+手数料支払 の後に補正可能になる。
外国語出願の場合は、国内移行書面+翻訳+手数料支払+国内処理基準時経過後に補正可能になる。

ということです。文言は長いですがこうして「整理」すると、大した規定ではないことがわかります。

ちなみに実用新案の場合、

□48条の8第4項
 特許法第184条の12第1項の規定は、国際実用新案登録出願についてする第2条の2第1項本文又は条約第28条(1)若しくは第41条(1)の規定に基づく補正に準用する。この場合において、同法第184条の12第1項中「第195条第2項」とあるのは「実用新案法第32条第1項の規定により納付すべき登録料及び同法第54条第2項」と、「納付した後であつて国内処理基準時を経過した後」とあるのは「納付した後」と読み替えるものとする。

とあるので、

国内移行書面+登録料と手数料の支払+訳の提出の後

となります。国内処理基準時、というのがありません。
ただ、実用新案の場合、2条の2の規定、というか、実用新案法施行令1条の

□実用新案法施行令第1条
 実用新案法 (以下「法」という。)第二条の二第一項 ただし書の政令で定める期間は、一月とする。

などの後ろの制限にも注意してください。さらに、PCTの規則(以下、Rと略称します)52.1(a)(またはR78.1(a))の期間(4ヶ月)にもご注意ください。国内移行した実用新案の補正期間はちょっと面倒です。

国内法令がPCTよりも出願人に有利ならいいんですが、そうでないとPCT規則が活きてくる場合がありますので、PCT関係の勉強は難しく感じられるわけですね。PCTは手続規定ですので、特許庁あたりが行っているPCT出願の研修にでも出席して、手続のルートを辿るほうが習得が容易かもしれません
また、184条の規定と実用新案の48条の規定とは、基本的に平行線でありながら、上述のように少しずつ違う点があります。こういう相違点は出題(一次試験でですが)のネタになりますから一度整理されるといいのではないでしょうか。

さて、この補正期間に似たようなのが、審査請求期間(184条の17)です。こちらは上の例と同じように整理できます。ただし、出願人と、それ以外の人とで請求可能期間が異なりますから、その場合分けは必要ですが。

その他、特許要件例外、新規性喪失例外、優先権主張例外などは比較的整理しやすいと思いますので、省略して参りましょう。

さぁ、残りは「みなし特許出願」ですが、こちらも見た目ほど大したことはありません。そもそもPCTには、受理官庁の手続に納得いかない場合、指定官庁側に検査を要求できるようになっています(PCT25条)。それに対応したものです。
このみなし特許出願について学習を困難にしているのは、準用規定と読替えが多いからかと思いますが、これらはいつもの通りそれらをちゃんと追跡すればよいだけです。なお、184条の20第6項の「技術的読替」は、特許法施行令の17条に規定があります。面倒でも一度は追跡してください。

では、次からはまた別の規定にいきましょう。そろそろ他の法域へ行った方がいいかなぁ。

|

« 先が見えない時代 | トップページ | 「典型」のかたち »

コメント

ntakeiさん。
こんにちわ。
判例のアドバイス有難うございます。
また今回の記事は、僕にとっては非常にありがたいです。
PCTとかパリ条約とか良くわからないので。
良くPCTとかの条約類は、国内法と比較すると良いと聞きますが、
イメージがわからないので、もし宜しければ教えて頂ければ嬉しいです。
また論文の書き方のリクエストですが、法的三段論法の実例を使った
あてはめを教えて頂ければ嬉しいです。
お仕事お忙しいと思いますが、宜しくお願いいたします。

投稿: ぴょん吉 | 2007年2月 9日 (金) 10時23分

条約類ですが、国内法との対応関係をつけることは確かに大事ですね。それは比較というよりも、条約の規定に対応して国内法で手当てがされているところを一緒に学習する、というような意味かと思います。
典型的なのは商標権の分割などの規定じゃないかと思います。たしかTLT(商標法条約)に対応して設けられた話だったと思いますが、マドプロでは商標権分割ができないので、準用されていないとか、そんなことになっていたと記憶しています(間違っていたらご指摘下さい)。

論文作成法ですが、もう少々お時間をください。現在検討中です。

投稿: ntakei | 2007年2月14日 (水) 02時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [弁理士試験]特許法案内(23):

» リカピン [リカピン]
リカピン [続きを読む]

受信: 2007年2月 9日 (金) 14時16分

» FXがわかるサイト [FXがわかるサイト]
書面の交付義務 契約締結前、取引成立、証拠金受領時にそれぞれ書面の交付が義務づけられた。 レバレッジをきかせることによって証拠金の何倍もの外貨を取引することができ、レバレッジの倍率を高くするほど為替相場の変動によるリスクは高まる。取引業者によっては100倍以上の高レバレッジが設定可能である。逆に証拠金と同額の外貨を取引する(レバレッジ1倍)という外貨預金に近い比較的低リスクな取引もできる。 最新ニュース一覧 ... [続きを読む]

受信: 2007年2月 9日 (金) 22時07分

» こんなのあります!無視したらもったいない゚(゚`∀´゚)゚! [生活にうるおいを]
★こんなに丁寧なマニュアル見たこと無い(*^o^*)! [続きを読む]

受信: 2007年2月25日 (日) 19時41分

» Side effects of the drug tramadol. [Tramadol.]
Tramadol. Tramadol hci. [続きを読む]

受信: 2007年3月25日 (日) 05時52分

« 先が見えない時代 | トップページ | 「典型」のかたち »