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2007年2月26日 (月)

「弁理」屋の休日

今年は暖冬である。東京で雪が降らないとすると、気象観測史上初めてのことであるという。降雪の条件は複雑だから、一概に温暖化のせいとも言いがたいと思うが、温暖化が進行しているのは「不都合な真実」なので、いちおう人間としては自分の生息環境を整えるだけのことはしなければならないと思う。

▽ しかし、雪がないのは、淋しい反面、都内の交通事情にとっては幸いで、複雑な思いである。

■とある仕事を一つ仕上げて、酒をちびちびやりながら、ネットワークの知っているURLを適当に叩いていると、弁理士会のウェブページ(http://www.jpaa.or.jp/)のデザインが若干変更になったのに気がついた。以下、そこからつれづれに見たことや考えたことを書いて見ようかなと…。

■同会から弁理士宛てに送付されるもののなかに、パテント・アトーニーというパンフレットがあって、−カラー印刷のなかなか贅沢なできなのだ−そこに「ヒット商品を支えた知的財産権」というのが連載されていたが、これが今回のウェブページで公開になった。
 もとより、弁理士向けの連載としては、いまひとつ専門性のない情報に思えていたが、こうして一般に公開してみると、なかなかおもしろい記事だと思う。

■たとえば、
「傘ポン」の記事がある。この装置はなかなか有用な装置である。某大手量販店のように、店員が傘袋を開けて呼び込みをするまでもなく、お客が、すいと装置に傘を挿入すれば、あっという間に傘袋に傘が収まるというわけで、大層便利である。これに関する記事は、たしか連載当時に読んだ記憶があった。

■こころみ
に、その記事に出ている特許文献を探ってみると、こんなクレイムだった。

【請求項1】 装置本体に傘の収納袋を装填し、その収納袋の挿入口を開放する開放操作部材を装置本体内に回動可能に設け、その開放操作部材に傘の先端を当接させて回動させることによって上記収納袋の挿入口を開放すると共に、上記開放操作部材に当接させた傘の先端を該開放操作部材の表面を滑らせながら上記挿入口から収納袋内に押し込んで収納するように構成したことを特徴とする傘の袋収納装置。
【請求項2】 前記開放操作部材は、装置本体内に装填した傘の収納袋に対して進退可能に設けた可動台を介して可動可能に支持させてなる請求項1記載の傘の袋収納装置。

■ぼく自身は、メカ系の専門ではないから、このクレイムの表現について云々する気は毛頭ない(ただ、クレイム2の「可動可能」というのは、何だかヘンかなぁとは思う)。クレイム1については補正がされているようだが、これは拒絶応答だろうと思う(サーバが混んでるとかで経過情報にアクセスできなかった)。ちなみに出願当初(公開時:特開平07-205944)のクレイム1は、

装置本体に傘の収納袋を装填し、その収納袋の挿入口を開放する開放操作部材を装置本体内に回動可能に設け、その開放操作部材を傘の先端で回動させることによって上記収納袋の挿入口を開放するように構成したことを特徴とする傘の袋収納装置。

になっている。

■補正の感じでは、一部36条、一部進歩性対応というような雰囲気で、特に開放操作部材あたりの動作が補充されているようだ。
 パテントされたクレイムでも少々わかりにくいように思うのだが、図面では動作がかなり明らかに書かれていて動作がよくわかる。ようは、ツメのついた蓋があって、この蓋を蝶番みたいので、押せば下方に開くように留めてある。また、この蓋は、ふつうは閉じた状態になっているようにバネなんかで引張られて(付勢されて)いる。さて、傘をこの蓋に突当て(当接させ)て下方に押込むと、蓋のツメが傘袋のふちを引掛けて傘袋を開く。そこへ突立てた傘が入り込む、という仕掛になっている。

私個人としては、ツメで引掛けるところとか、その辺までクレイムしたい気になるけど、それは無効審判なんかがあったとき、訂正削除で逃げる道を作っておきたいからだ。もとより特許発明として成立しているのは、この蓋(本件クレイムでいえば開放操作部材)があるからだろうが、このクレイム1だけでは心もとなくて、もうちょっと製品寄りのクレイムを作りたくなってしまうのは、私のクセかも知れない。

したがって、この件で権利行使もできているらしいのは、なかなか興味深い。しかし、この連載では、さすがにそこまで内部的な事情まで教えてはくれない。当然のことであるが。ただ、記事によれば、傘ポンの権利者は、侵害品をちゃんと見つけては一件一件対処しているらしい。この配慮のこまやかさが良いのかも知れない。

■権利行使ひとつをとってみても、例えば突然「XXの基本特許を獲得しました! ライセンスは次の通り…」とかそういう高圧な態度に出られると一般の反発を買う。ライセンスの基本姿勢は、相手側の利益も考えてやることが必要なので、それなくしてライセンスアウトは難しい。

何事も相手あっての特許権ではある。

□一仕事後の解放感から、なんだか締まりのない文章になってしまいました…。

□そういえば!
 新宿高島屋の入口で、傘ポン二号機の試作品というのを見たことがあります。発想が根本的に違い、その場で傘を乾燥させてしまおうというもの。傘の形状によって乾き具合にムラがあるようで、製品としては難がありましたが、なかなか企画・開発力のある会社らしい。

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