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2007年1月16日 (火)

乱読日記[39]

「吸血鬼ドラキュラ」,ブラム・ストーカー

事務所で、予め定めた時間ごとに聞こえてくるチャイムが、実は柱にかかっている時計が鳴らしているものだったとは知らなかった、と同僚が言った。思えば音の定位というのも難しい問題なのかも知れないが、ちょっとあんまりじゃないだろうか。ついでに、そのチャイムの音は例の、ウエストミンスター寺院のそれなのだが、言われてみるとこの音がどうして日本で学校その他で広く使われているのか、そこまではよく分からない。

▽ 教会の鐘、というキーワードでなぜか「吸血鬼ドラキュラ」を思い出した。かれこれ10年ほど前に読んだものなので、いまさら「乱読」に入れるのもどうかと思ったが、キッカケはともあれ、名著は名著なので、ここにご紹介。

■鐘の音のつづき
 大学時代、友人から預かった教会のベルのCDがあったはずだと、ちょっとばかり家捜しをしてみたが、積もり積もった書籍の奥にしまい込まれたCDを全部引っ張り出すことができなかった。記憶に残っているウエストミンスターの鐘(CDに入ってるのを聞いたもの、実際に訪れたことはありません)の音は、いわゆるチャイムの音よりも当然ながら重厚ではあったが、日本の寺にあるような鐘よりははるかに軽やかだった…と思うなぁ。

 私にとっての教会は、大学のICU教会と、同じくICU内にあるシーベリーチャペルである。代々天台宗の仏教徒の家に育った私としては(そこまで大仰じゃないけど)、これ以外に教会というものに縁がない。とはいえ、大学教会内に入れば、そこはよく計算された具合の採光と、目の前に大きく立つパイプオルガンから聞こえる宗教音楽とから、自然と「聖域」らしい雰囲気がするものだ。

■「ドラキュラ」
 物語の主人公ジョナサン・ハーカーは、「創元推理」の版によれば弁理士とされている。もっとも、この主人公がドラキュラの屋敷を訪れる理由というのが、ロンドンの土地登記手続に関するものとあるから、これはどうやら英国でいうソリシタ(事務弁護士)を適宜「翻訳」したものと考えるのが妥当だろう。

 物語は登場人物の日記や、手紙といったものを並べた形で進行する。この中には、鏡、十字架、ニンニク、聖餅などドラキュラ物語に馴染のあるアイテムがたくさん登場する。すべてを読み返している時間がないので残念ながら確認はできなかったが、ゴマを撒くというような話はなかった気がする(ドラキュラは数を数えるのが好きなので、ゴマのような細かいものを撒いておくとその粒の数を数えずにはいられない−セサミストリートのドラキュラがカウント伯爵と呼ばれる所以である。なお、伯爵もまたカウントなので、セサミの彼は原語では Count count となる−)。

 ざっくりと読み返してみると、後半のドラキュラ城への襲撃や、ドラキュラ伯爵を倒すところなど、ところどころ記憶と相違している。レ・ファニュの「吸血鬼カーミラ 創元推理文庫 506-1」−このドラキュラに先行して発行された女吸血鬼の話−などと混じったのかも知れない。

 クライマックスのドラキュラとの戦闘は多少あっけないものの、ヘルシング教授が夜の間は魔物の進入を阻む小さい聖域をつくりつつ、魔物の誘惑を退けて、幾日かかけてドラキュラ城へ迫っていくシーンなどは−古典的との批判はあるが−十分な迫力で描かれており、恐怖小説に慣れていない私のような読者にとってはかなり刺激的でおもしろい。この小説以後の吸血鬼ものが色あせて見える、とまで言わしめるに相応しい仕上がりなのである。まだ読んだことのない方にはオススメできる古典的名作である。

□「カーミラ」

□「ドラキュラ」の映画については、ジェレミー・ブレッド主演のものが一番怖かった、と知人から聞いたことがあったが、これも amazon にないみたい。いま、amazon にあるジェレミー・ブレッドというと、「シャーロック・ホームズの冒険 DVD-BOX 1」など。これはこれで欲しいけど、こんな高価では買えない。

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