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2007年1月11日 (木)

乱読日記[38]

「数学小景」 高木貞治

昭和18年に発刊された本の文庫判。第一刷は2002年だが、購入したのは2004年の第三刷。岩波はひと刷りあたりで刷られる本の数が少ないとはいうが、一応、刷数を重ねているということは、それなりに売れている証拠ではないだろうか。

▽ いや、べつに売れているかどうかを気にしているわけでもない。この本は、数学パズルにちょっとでも興味のあるひとならば必ずおもしろく読める。

■高木先生
高木貞治先生というと、私にとっては「解析概論 改訂第3版 軽装版」の人に媚びない表紙が思い浮かぶ。残念ながらこの本を蔵書していないのだが、理科系の大学初年度頃に行われる解析の教科書としては比較的優れた書であったと記憶している。

この本は、そういう本格の学術書ではないから、かなりくだけた口語調で書かれていて、さっくりと読める。オビにあるように、「ゲームを題材に」しているのだが、題材になっているのは、「ケーニヒスベルグの橋渡り」や、「四色問題」、「15パズル」、「魔方陣」などである。タイトルから中身が想像できなくても、見れば多くの人が「あー、あれか」と思うのではないだろうか。

逆に、こうしたタイトルから中身が想像できてしまう人にとっても、高木先生の分かりやすい説明を十分楽しむことができる。一筆書き可能な条件の説明を一つとっても、ここまで分かりやすく説明されると、誰でもこの条件を飲み込むことができるのではないだろうか。

■魔方陣
ところで、この本で扱われているものの一つに「魔方陣」というのがある。Magic Square の訳で、「まほうじん」なので、「魔法陣」の誤記ではないかと思われるかも知れないが、これは「スクエア」の部分を「方陣」と訳して、「魔」−「方陣」なので、「魔方陣」で誤記ではない。

ともあれ、私は、この魔方陣というのが、一体全体何のために研究されていたのかをまったく知らなかった。この本にいわく「信仰の対象」で、占星術などで用いられたという。なるほどそういったことか。学術的興味としてはn×nマスの魔方陣を作れるか、という問題があったようだが、これについては既に解決済み、と、この本にはある。なるほど連番を適当に配列したところで各列・各行、対角線の和が一致すれば「魔」的な雰囲気を醸すということだろうか。

そういえば、と、以前にもご紹介した、私の大学時代に実験助手をなさっていて、お世話になった冨山さんの「Macintoshの理屈―マックに使われないために知っておきたい仕組みのアレコレ」を参照すると、なんだ、やっぱり「祭事、あるいは秘術として栄え」たとあった。私が読み落としていただけか。

■さらにそういえば、だが。
この冨山さんの本にある HyperScanner は、以前、奇術の特許という題目の記事でご紹介したが、Mac のディスプレイをトランプカードのスキャナにするプログラムである。残念なことに、この冨山さんのプログラムは HyperCard のスタックであったので、HyperCard のバンドルなきいまの Mac での実行は困難である。ちなみに、HyperCard 自体はアップルのウェブページからダウンロードできるものの、スタックの作成には、ふるい HFS フォーマットのディスクが必要であったと記憶している。フロッピーにフォーマットしたディスクイメージを作って、そこへスタックを記録させればいいのかも知れないが、これは試したことがない。

…で、話はそれたが、以前にその話題を書いたあと、ふとした思いつきで RealBasic を使って、作ってみたのである。題して、RealScanner

Realscanner1

    図1:スキャン前

現象としては、中央部分にトランプカードをあてがって「SCAN」ボタンを押す(図1)と、スキャンが行われ、あてがわれているトランプのマークと数字とが表示される(図2)というものである。

Realscanner2

    図2 スキャン後

中央のトランプをスキャンする「読取面」は iMovie と GarageBand とを使って製作した、10秒ほどのムービーになっており、スキャン中の効果映像・効果音も入っている。家族に実演してみせたところ、それなりに楽しんでもらえたようである。

方法を書いてしまうと、意味がない(冨山さんの本には書かれているが)ので、ここでは省略する。なお、実演が見てみたい(または実演してみたい)という奇特な方がお出でであれば、このアプリケーションをアップロードを考えるが(多少練習すれば誰でもできる)、どなたかお出でだろうか。

□解析概論:

□Macintosh の理屈:

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コメント

ntakeiさん。
おそくなりましたが、おめでとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。
いよいよ論文答練が、始まります。
是非お伺いしたのですが、毎日全文書きしているのですが、
条文解釈(あてはめ)の部分が上手くできないのですが、
どんな風に勉強したら良いのかぜひアドバイス頂ければと思います。
宜しくお願いいたします。

投稿: ぴょん吉 | 2007年1月11日 (木) 12時58分

新年あけましておめでとうございます。

ご質問の内容ですが、「条文解釈」の書き方でしょうか。それとも、「当てはめ」に関わる部分の書き方でしょうか。論文では法律に規定された要件を記述する際、解釈に問題があれば「条文解釈」を行うことになります。これは自力で勝手な解釈を書くのではなく、既に誰か「お偉いさん」がした解釈をなぞるのです。これこそレジュメが役立つ領域といえるでしょう。

一方、「当てはめ」というのは事例問題などで、列挙した法律上の要件に対して事案の内容を文字通り当てはめる作業です。対応が明確になっていれば、一応当てはめの記述としては十分ではないかと思います。

ただ、こういう問題では、コメントでお答えできる範囲にも限界があるかと思われます。法律論文の基本的な書き方については、ずいぶん以前にも記事にした気がしますが、また改めて記事にしてみましょうか。

投稿: ntakei | 2007年1月12日 (金) 02時04分

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