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2006年11月21日 (火)

まだじゃんか−発効していない条約のはなし

いつぞや、米国特許法の勉強用書籍をご紹介する記事を書いたが、欧州編、というのを書いたら読みたい人がいるだろうか。いや実のところ、ヨーロッパ関係の書籍については、どれも決定打を欠くような気がして、いっそEPOが提供している "How to obtain a European patent" (英語は、http://www.european-patent-office.org/epo/obtain.htm)でも読んでおくほうがいいんじゃないかと思ったりしているのである。ただし、導入書籍はともかくとして研究書の方面での力作は多い。そちらの紹介なら可能かも知れない。

▽ 本日、あまり付き合いのないドイツの代理人がやってきて、事務所を宣伝して帰っていった。CPC(共同体特許)の話などがあって、それはそれで興味深かったんだけど。

■それはまだです
 その代理人の話っぷりからして、CPCはいつのまにか発効してたんだと勝手に誤認したんであるが、いろいろ確認してみると、まだ発効してないみたいじゃない。これだから条約っていうのは難しい。条文ができていたり、改正がされていても、発効していないというケースは多々ある。

■ロンドン・プロトコル
 結局のところ、EPCの方で懸案になっているロンドン・プロトコルが発効すれば、CPCも使いやすくなり、発効しやすくなるだろうと。そうすれば、CPCを使った出願を視野に入れた、新しい戦略が考えられる、という紹介なのであった。相手の英語も舌足らずならば、こちらの聞き取り能力(というよりむしろCPCの理解)が不足していたために、誤解したわけである。

 現状のCPCでは、クレイムと明細書とを独語、英語、仏語(D,E,F)のどれかで作成して出願する。そして権利付与がされる段階で、クレイムと明細書の双方をDEFの三カ国語で作成する。そして最後に、各国段階においてはクレイムと明細書の双方を、ECのすべての公用語へ翻訳する必要がある。自動翻訳でもあれば別だが、はっきり言ってコスト高であり、使い物にならないのは目に見えている。

 ロンドン・プロトコルに従うとすれば、権利付与の段階でクレイムのみDEFに翻訳すれば済み、さらにDEFのどれかを公用語にする国に対しては、出願当初明細書と、DEF三カ国語に翻訳したクレイムを提出すればよい。またDEFのどれも公用語にしていない国に対しては、その国において、DEFのどれかから選択された言語に、クレイムと明細書とを翻訳し、クレイムのみ、その国の公用語に翻訳すればよい。

 いずれにしろ翻訳負担はあるにはあるが、大幅軽減といえばいえる。

 現状、フランスの代理人が、翻訳料収入の激減を懸念して大反対を展開している模様で、このロンドン・プロトコルも懸案のままである。

 ドイツ代理人が主張しているポイントは、どうやらドイツ政府の主張と同じようなもので、CPCが意義のある制度となるためには、比較的安価で保護が得られる制度にしなければならないということだ。たしかにそうだろうが、翻訳がされないとなれば、困惑するのはDEFのどれも公用語にしていない国々であり、そこでの権利行使は難しくなるだろうし、いろいろ懸念すべき問題は多そうだ。

■将来的には
、EP出願で得られた権利は、共同体全体の権利として、扱われるようにしたい意向のようである。しかしヨーロッパに残る言語の壁は、まだ高い。

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