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2006年11月22日 (水)

金属蒸発の悲劇

 私がアマチュア無線、電話級の免許を取得したのは小学校4,5年のころのことだ。巣鴨にあるJARL(日本アマチュア無線連盟)の講習に通って取得したので、いわゆるマルバツ式ではなく、記述式の試験を受けた。法規の試験がどんなものだったかはすっかり忘れたが、無線工学では、スーパーヘテロダイン式の受信機のブロック図と機能を説明する問題があったのを憶えている。
 それから月日は流れ、いまでは開局もしていない有り様である。そのため、周波数帯域の利用というのにめっきり疎くなった。書店で時折みかける「周波数帳 (2006)」、ページを繰ってみたい気もするが…。

▽ なぜこんな話を始めたかというと、家にある電子レンジが壊れたからである。

■ターゲットは水分子
 電子レンジの加熱原理は簡単だ。
 水分子はH−O−HをV字にした形状なのだが、ほとんどダイポールと見なすことができる。このダイポールは、2.45GHz付近に電磁気的な共振周波数帯域を持つ。従って、2.45GHzの強烈な電磁界に水分子を置くと、その水分子は、暴力的に揺さぶられ、周囲の分子との衝突により熱エネルギーを発する。要するに電子レンジは、この2.45GHzの強烈な電磁界を生成する機械だということである。
 2.45GHzは、ISMバンドと呼ばれる周波数帯域にあり、俗に言う「なんでもあり」的な実験用の周波数帯域に属する。もっとも最近では無線LANの割当もあるので、周波数帳 (2006)でいったいどんなことになっているのか見てみたいと、ふと思った次第である。
 さて、このような強烈な電磁界を生成する機械である電子レンジ、その機械の中心部にあるのは、「マグネトロン」という装置である。

■マグネトロン
 マグネトロンは、真空管のそれのように、電極(フィラメント)を加熱して電子を放出させる機構を備えている。これに高周波共振を与えて、例えば2.45GHzのマイクロ波を生じさせるのである。戦時中は、このマイクロ波を空中に放射して、その反射波を見ることでレーダーとして用いていたのであるが、このレーダーの実験中、その近くにいた技師が、ポケットに入れいていたチョコレートが溶けたのをヒントに電子レンジを発明したというのは、アイラ・フレイトウの「あっ、発明しちゃった!」に詳しい。
 ところでこのマグネトロン、フィラメントを加熱するものであるだけに、フィラメント構成金属の蒸発など、フィラメント劣化によっていずれはマイクロ波の生成能力を失う。

■故障の概況
 今回わが家の電子レンジは、時計やタイマ、ターンテーブルの制御などは正常に動作している。しかしながら、いくら回しても、食品が温まらない。
 ということは、まぁ、マグネトロンの劣化が疑わしいところである。見れば、もう15年も使っているレンジだし(名誉のためにメーカーを挙げておくと、三菱電機である)、仕方がないところであろうか。
 仮に故障個所がマグネトロンでないとしても、このマグネトロンに電源を供給するトランスの故障も考えられるが、いずれも分解清掃等して修理できるようなものでもないと思われる。しかも家電品は、年々消費電力が抑えられるなど、いろいろ改良が施されるから、部品交換で維持するよりも新品を購入するほうが気が利いている。

■いやんなっちゃうのは、この出費が嵩む時季(年末年始のおつきあいとか色々)に、高価な買い物をしなければならない点である。安いものを買えばいいのは分かるが、最近のオーブンレンジには、スチーム機能とかいう機能がついているものがあって、魅力的である。要するに蒸し物が作れるわけだ。そんなことを聞くと物欲にはキリがないわけで…。

□ところで、
関東電波監理局は、関東総合通信局に名称変更したことを、このたび初めて知りました。あーもう「デンカン」とは言わないのか。「ソウツウ?」…なんだかピンとこないなぁ。

□アイラ・フレイトウ、「あっ、発明しちゃった!」:

電子レンジ、ゼロックスコピー、ベルの電話、ベルクロなどなど世の中の発明品の物語:

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