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2006年10月18日 (水)

乱読日記[32]

「燃えよ剣」,司馬遼太郎

▽ 先頃、高幡不動へ詣ってきた。過去にも数回訪れていたのだけれど、土方歳三の銅像があったのに気がついたのは、今回が初めてだった。

「勇は上石原、歳三は石田村の出である。どちらも甲州街道ぞいの在所で、三里と離れていない。初夏になれば、草むらという草むらが蝮臭くなるような農村だった。」

 本書の冒頭で紹介される一文である。
 高幡不動から帰ってきて、地図で確認すると、なるほど新撰組副長だった土方歳三の墓所というのも、高幡不動のすぐ近くなのだ。一方、新撰組の局長である近藤勇の墓所である龍源寺は、私の出身大学のすぐ裏手にある。ちょうど味の素スタジアムの北側にあたる。ここから上石原までは、味の素スタジアム方面へ南下して、甲州街道へ出、そこから新宿方面にほんのちょっとである。

 しかし近藤の道場は、小石川というから、いまの文京区のあたりで、歳三の在所から三里どころではない。30kmあまりも離れているだろうか。土方の足は相当早かったというが、この距離をどの程度の時間で歩んだものか。


物語は、土方歳三を中心にしている。司馬遼太郎らしく、史実を程よくおりまぜつつ、しかしながらストーリーはしっかりと立っている。土方に接近する女性の存在が物語に厚みをつけているところも、新撰組ものとしては異色なのかもしれず、人気のある本というのも頷けるところだ。

当初はただの剣術好きで、「いずれ武士になる」と、うそぶく歳三。だが、人を一人殺めたことから、太刀筋も変り、人生にも転機が訪れる。やがて、幕府において、存亡の危機感から浪士組が集められると、それに道場を挙げて参加する。道場は潰れてしまうが、ここからが後の新撰組への道に繋がっていく。

作中では、土方の組織企画力が大きく描かれ、新撰組の組織作り等に活躍する。ほんらい、新撰組のハイライトであるはずの池田屋事件などは、それなりの流れになっているものの、むしろ傍説のような扱いの気がする。

実際、下巻の後半は、既に新撰組なきあとの土方の行動を描いており、日本とは異なる新政府という野望、それが潰えて五城郭で討たれるまでのストーリーにも充分な分量が割かれている。


新撰組物語というだけでなく、江戸幕府という化け物のような政権の末期と、それに取って代わる明治政府が動き始めるまでの時代を描く歴史小説として、この本はなかなかに面白い。新撰組好きというわけでないが…という人(私みたいな)にも、オススメな面白さである。

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