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2006年10月19日 (木)

冗談意見書

委員会関係の原稿に追われており、煮詰まっておりますので、今日はネタで、記事を作成させていただきます。要するに、以下の記事はまったくの「冗談ポイ」でありますので、そのつもりでお読み下さい。

▽ 特許事務所なんてところに勤めておりますと、それなりにムリのある意見を、まとめあげなければならないことも多いものでございます。そういうとき、冗談ではありますが、意見書ネタの冗談というのには事欠きません。以下は、その例であります。むろん、実際の仕事では、こんなもの書くわけございませんが。

ちゃんとした意見書の書き方は、こちらの本が、かなりオススメです、というか、特許関係者ならば必読ではないでしょうか:

■「アメリカ何々」などという名称を略して、"A…" と称する企業からの外内出願についての意見書例

 審査官殿は、本願発明が、特開XXXX−XXXXX号(以下、引用文献1という)に開示の発明から容易に為し得た、と認定されました。なるほど、本願発明は、引用文献1に開示された発明と実質的に同一、と見えなくはありません。

 しかしながら、審査官殿にご注意頂きたいことは、本願の出願人の名称であります。ご存知の通り、A…社のAは、アメリカのAであります。

 昨今、もとへ戦後の歴史を通じまして、わが国が、かの国からの外圧により種々の法改正を余儀なくされるなどの事態は、公然の秘密かと存じます。しかるに、審査官殿が、一省庁を代表して、この出願人の出願を拒絶するようなことがありますと、これが一つの引金となって、特許法その他の面での外圧を受けるような事態も憂慮せねばならないかと存じます。

 そうでなくとも、かの国は国際的な観点から、比較的ずれた、もとへ、国際的趨勢からその趣旨を異にする特許制度を有しており、その他国での特許実務への影響は大なるものがございます。場合によっては、わが国の制度をも外圧の下に、その制度に統一し、世界的趨勢をひっくり返そうという目論見もないとはいえないと考えます。

 かかる事情の下、本願を拒絶して、徒にアメリカとの摩擦を生じることが果たして妥当でございましょうか。審査官殿におかれましては是非、この点をご再考のうえ、特許査定を賜りたくお願いする次第です……………

■中途受任したものの、どうみても36条違反です、ありがとうございました

 審査官殿は、本願明細書の記載が不備であり、当業者が容易に実施できる程度の記載がないと認められました。そこで出願人は、この意見書と同日付で提出した手続補正書により、特許請求の範囲を補正致しました。この補正は…に記載の内容を含めたもので、補正の要件を満足するものです。

 補正後の本願発明の要旨は、「…」というもので、おおよそ実施するだけの意味がないものとなっております。すなわち、本願発明は、誰も実施のしようがないものであり、誰も侵害をする怖れのないものとなっております

 かかる状況では、本願発明に特許権を付与するとしても、第三者に何ら不測の不利益を与えないことは明確です。一方で、出願人は特許権者となって喜ばしいうえ、特許庁、ひいては国家にとっては出願人から登録料、特許料、その他登録免許税などの収入を得ることができ経済的な発展に資するものとなっています(なお、中途受任により「被害」を被った代理人にも、成功報酬がもたらされる可能性があることにもご注意ください)。

 すなわち、本願発明を特許することにつき、誰も困らないばかりか、少なくとも三者には喜ばしいことといえ、本願発明を特許することは、特許法1条所定の目的にかんがみて、法の趣旨にも合致するものと確信いたします。つきましては、上述の点をご勘案のうえ、何卒特許査定を賜りたくお願いする次第です……………

■このほか、法律上どう考えてもおかしいのですが、29条の2の拒絶理由について、「代理人同一」を理由とする特許性の主張などというのがありますが…………えーと、あの、いずれも冗談でございますので、一笑に付したうえで、ご容赦ください。

 本当の意見書の書き方は、冒頭ご案内の通り、「新・拒絶理由通知との対話―特許出願」を、是非ご参照ください。知財関係者必読です。

 さっ、委員会の原稿を書こうっと。

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コメント

大いに笑わせていただきました。
おかげさまで、10月22日予定の試験前の緊張が、ちょっとだけ、ほぐれました。
ありがとうございました。

冗談事例1に関連して:
さすがに、超大国の威光を使った経験はございませんが、
「審査官殿もご存知のように、当該発明者はこの分野では世界的に非常に有名な研究者です。」
という文章はどこかで見た記憶が……(笑)。

冗談事例2に関連して:
実施可能性要件違反ではないのですが、
36条6項系の違反の指摘ならば、拒絶理由を頂いて感謝する事案が多々あります。
(その理由はおおっぴらに書けませんが)

==大ネコ

投稿: 大ネコ | 2006年10月19日 (木) 07時45分

大ネコさま

いつも有難うございます。
お楽しみ頂けて何よりです。
この種のネタは、どうにも煮詰まって、所内メンバーで相談しているときに出てきたりします。かなり末期的なわけですけれども…。

しかし…
>「審査官殿もご存知のように、当該発明者はこの分野では世界的に非常に有名な研究者です。」
ネタかとおもうような意見書も実際にあるものなのですね :)

#では、付記試験、がんばってください。

投稿: ntakei | 2006年10月20日 (金) 01時07分

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