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2006年10月30日 (月)

合格直後の勉強

と、あることでアマゾンを探っていたら、いつぞや売り切れになってから発見した「刑事コロンボ コンプリートDVD-BOX」が再販され、予約受付中になっていることを発見した。DVD23枚組で、アマゾンの場合、19,688円というのは買得だ、と踏みつつ、しかし一度は躊躇して、やっぱり予約してしまった(我ながら弱いなぁ)。

▽ さて、三次試験も済んで、あとは発表待ちという人も少なくないことでしょう。こうして弁理士試験という一応の目標を達成した後は、慣性の法則ではないが、さらに何かの勉強をしたいという勢いのついている人も多いのではないでしょうか。
 「いっそ弁護士…」とか、そんなことを考えている方は別として、この弁理士という資格で食って行くならば、おそらく絶対必要な知識が、外国出願・権利行使の知識である。以下、今回の話題は、特に米国に絞る。

■ 学ぶ機会
 とはいえ、弁理士会の新人研修では、制度を紹介されるに留まることが多いようなので(それも必要ではあるが)、実務的な知識を蓄える機会というのは、そうはない。
 一方、例えば自主研修などに参加してみると、周囲は百戦錬磨のツワモノ揃いで(新人のころは、そう見える)、聞きかじっている筈の米国出願セミナーでも、いきなり「102条(e)の規定」とか「ヒルマー・ドクトリン」、はたまた、「CA」、「DA」、「RCE」などの略称、種々の判決名(「フェスト」など)、権利行使段階に入れば、「マークマン・ヒアリング」がどうのと、それこそ具体的な判決名が飛び交い、分かっているつもりでも、付いていくのが大変だ。

■ 実務
 そして実務的な側面でも、米国特許出願の依頼があれば、ある程度は米国式に合わせたクレイム作成(claim drafting)が必要だし、図面の作成方法にだって、独特な面がある。クレイムでいえば、いわゆる「…手段、…手段」からなる means plus function(略称MPF)の問題がある。このクレイムは、

XX apparatus comprising:
means for …(機能−function)…,
means for ……

というタイプのクレイムである。その問題というのは、日本で「XX手段」と書いておくと、翻訳者はほぼ自動的にこの means plus function クレイムに訳してくる。ところが日本の「XX手段」クレイムとは違い、米国ではこの種のクレイムを実施例限定で解釈される、ということである。

 こういう場合、最も単純には、"means for ..." の "means" を、"device"や、"circuit"などの別の単語に置き換えてしまう。特に電気回路の場合、"circuit"がオススメである。

※結局、means のような書き方は具体的な構成を明示していないと考えられてしまうわけである。その意味では device も同様なのだが、伝統的には device を実施例限定では解釈しない。しかし、最近、"mechanism"や"element"、"device"も同じ、という判決があるようで(MIT v. Abacus Software(05-1142, Fed. Cir, 2006))、まだ判決をちゃんと読めてないのだが、事実だとすると、上の「単純置き換え法」は再考する必要がある。

■ 勉強法
 こうした実務まで含め、具体的な手続を勉強する方法は、必ずしも適切な方法があるわけでもない。昔は、チザム(アメリカ特許法とその手続◯英和対訳)や、ヘンリー幸田(米国特許法逐条解説)などを基礎に勉強したものだが、これらは主に法律の解説だから、辞書として使うならともかく、その全体を読み解くとなると、結構ホネである(でもやったんだよ、以前は)。

 まぁ、今でも、これらの本は重要なのだが、最近は、もうちょっと薄くて、ポイントを絞った本があるので、こちらを併用することが勧められる。例えば、「要点早わかり 米国特許入門◯出題から審査・訴訟までのポイント解説」は、ポイントをよく絞ってあり、手続順に読みやすい構成になっている。一通り読んでしまうことをお勧めするが、その場合でも要点ごとに読めていい。

 また、「米国特許実務マニュアル◯判例とキーワードにみる米国特許の重要ポイント」は、弁理士会の逸材、小西恵先生の力作で、判例を含め網羅的に記載されている。ただし、こちらは通読するのはちょっとキツイ。この本のデザイン自体が、要点ごとの簡潔記載に適したデザインだからじゃないかと思うのだが…。

 それから、出願の手続で必要になるMPEPの知識であるが、uspto からMPEPをダウンロードして見るよりも、「MPEPの要点が解る米国特許制度解説」を見ていくほうが分かりやすい。この本も通読には適さない装丁だと思うんだけど、できなくなはいと思う。

■ とにかく、こういう本を参考にして、何度かは具体的な手続をしてみることである。書籍だけでは、MPFまでは分かっても、"characterized in that"は、どう解釈されちゃうかとか、そういうことまでは分かりにくい。
 そのうえ、時々刻々と変化する実情は、外国にいては分かりにくいので、信用のおける現地代理人と仲良くしておくこと。そしてそういう現地代理人に相談しながら仕事を進めればよい。それが勉強法として最上の方法ではないだろうか。

■ ご紹介した本:

□ そして外国出願に慣れたら、こんなのは、いかがでしょう。…いや冗談です。
野望ポスター

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