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2006年10月26日 (木)

発明と(子供の)教育と

小学生発明者が特許権の取得に成功し、最年少発明者だ、といって一部マスコミを賑わしていた。小学生弁理士はありえないが(飲酒・タバコ・弁理士は20才になってから)、発明者や特許権者であれば、幼児であってもなることができる。

▽ もっとも、創作能力のない乳児くらいになると、冒認出願(真の発明者からの許諾を得ずにされた出願)と認められたり…するのかなぁ。

*特許番号の確認を取っておりまして、公開が遅れてしまいました。

■発明の内容がよくわからない。どうやら傘の置き忘れ防止装置らしい。マスコミ記事の内容から推察するに、帰ろうとすると、警告用に取り付けてある傘を開く動作を行い、傘の置き忘れがないかを想起させるというものみたい。警告機構に新しさがあったとみたものか、報道が正しければ、これが特許されたわけである。
 「ライト、ついてますか―問題発見の人間学」という本で、トンネルから出てくる車に、ライトの消し忘れを警告する文句として、どのようなものが効果的だったかが示されている。それがこのタイトルでもあるわけだ。傘忘れ防止装置は、この本の原理を応用したものだが、それは人間の精神活動に関わる原理だから、そっち方面では特許にしにくいだろう。

■これで思い出したのが、USP 6,368,227 、"Method of swinging on a swing"(ブランコのこぎ方)という米国特許である。覚えている限りでは、この発明者は当時5才くらいの未就学児で、親が patent agent だか、attorney だかで、知財マインドを息子に教えるために出願をさせたそうである。
 たいがいの米国代理人にいわせると、あんなものを特許して、と憤慨した様子を見せるのだが、たしかに新規性があるかというと…(えっ、そんな話じゃない?)

 仮にクレイム(4つある)の一つを訳してみると、

1.a)木の枝にぶら下げられ、2つだけのチェーンで、その間にこぎ手を支持するシートをぶら下げ、
 b)シート上にこぎてを位置させ、木の枝に対して垂直な位置に向かうようにし、
 c)こぎ手に、チェーンの一方を引っ張らせて動作を引き起こさせ、一方の側へこがせ、つぎに他方のチェーンを引いて別の側へこがせる動作を交互に行わせ、
 d)ステップc)を繰り返して、一方の側から他方の側へと、こぎ手に対し、木の枝に平行な方向へこぐ動きをさせる、
 ステップを含むブランコのこぎ方。

 なるべく直訳に近いように訳してみた。「木の枝」だの限定がくどいようだが、まぁそれはいい。日本では少なくとも私の子供の頃から新規性を喪失している気がする(こういうこぎ方する人、いましたよ)。

■弁理士会から時折、「はっぴょん通信」なるものが送られてくる。母校にもっていて知財教育を実践してほしいとの趣旨と思われる。だけどね、実際は発明を保護することだけでなく、発明を利用することも教育だと思うんだ。だから勝手に真似するな、とか、権利で保護されるんだ、とか、そういうことだけではなく、人の作ったモノの仕組みを検めて、その仕組みを改良したり、応用したりという楽しみも、併せて教えていくのが教育として相応しいのではないだろうか。

 そういう意味では米国のブランコ特許は、今ひとつの感が否めない。

 傘忘れ警告装置の一件が、ただ、その保護を教えるだけの片面教材になってしまわないことを望むばかりだが、どうだろう、これを製品化したり応用したりするところがあるだろうか…。

「ライトついてますか」
この本は、人へのメッセージの送り方を考察する本として、おもしろい。

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