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2006年5月 8日 (月)

[弁理士試験]意匠法のこと

連休が終わり、そろそろ本格的な受験シーズンの幕開けである。

一次試験に目を奪われて、「一次に合格するぞ」などと考えているようでは、いけない。最終合格までには、二次にも、口述にも合格していかねばならない。照準はあくまでも最終合格。これを忘れてはならない。なお、口述試験は、「合格させるための試験」なので、あまり極端な心配は要らないというのが本当のところである。と、いうことは、試験の本番は二次試験だ、といっても過言でない、と思う。

さて、意匠法のことである。受験を始めたころは、「意匠法」をみて、

「あーなんて短い法律なんだろう。これはいい」

などと思っていたのが、合格する間際になると

「どういう法律なんだよ」

と文句をつけたくなるものに変わっていた。法改正もあったが、自分の感じ方がそうなった、ということだ。

▽受験生をやっていた間に、意匠法は大きく法改正された。類似意匠制度が廃止され、「連合商標」に似ているという、関連意匠制度が導入された。それまで認められなかった物品の「部分」のデザインを保護するため、部分意匠という制度も生まれた。これらの制度はたしかに必要から生まれたもので、悪くはないのだ。悪くはないのだけれども…。

意匠法の勉強というと、各制度の趣旨や各制度で登録されるものの例を覚えることと、審査基準を知っておくことくらいじゃないだろうか。むろん、一次試験レベルの(つまりは条文のレベルの)問題は必要だし、意匠の試験官ときたら、出願時の書類に記載する内容を書かせるのも好きだから、意匠法施行規則の出願書類の項目も、ある程度知っておく必要がある。

一方で法律の試験問題としてのポイントは殆どないように思う。意匠の類否の観点は、古い本だが、高田忠の「意匠」にとどめをさすし、ほかに解釈や運用で問題になりそうな個所も、特に勉強するべきものがあるか、どうか。法律問題として、論点となる個所をムリに探して論じたいなら、斎藤「意匠法概説」か、牛木「意匠法の研究」を読んで、「創作説」と「需要説」とがどこが違うとか、いや本質は同じだとか、そんな学者みたいなことを論じるしかないのではないか。しかし、こうした論点を勉強するくらいなら、各制度についてもう一度念入りに確認したほうが有意義だと思うのは私だけだろうか。

こういうことから、意匠の論文はどうしても、出願時・登録前・登録後に分けて…などと、手続に沿った記載になってしまう。

もっとも改正前の法律においてならば、比較的実務的な側面で論点をまとめた良書として、中川淳「Q&A 意匠法入門」がある。この本は、判例も数多く引用しており、意匠法の数少ない研究書としても意義があるとおもう。ただし、改正点に注意しながらこの本を読むのはちょっと辛いと思われる個所もある。意匠法を一通り勉強した人向けの本ということになろう。

かくいう自分を振り返ると、斎藤「概説」を基本書としてひと通り目を通し(吉藤を精読したのとは違い、目を通したに留まる)、中川「Q&A」を念入りに読み(結局これを一番よく読んでいると思う)、そして某セミナーでの峯先生の講義を聴きつつ、改正本を参照して、改正点を確認した。審査基準そのものは通読はせず、問題があるたびに「そのつど確認する」だけであった。むろん、物品、意匠の定義や、それぞれの類否の問題に現れる例示物などはよく覚えた。取引時の定型性をいうときの「アイスクリーム」などのことだ。

受験期には、斎藤「意匠法」(概説ではない)や、上記の牛木「研究」にも手を出したが、「やり過ぎだ」と感じてすぐに手を引っ込めた《なお、「ベテラン」受験生のためにいうが、「やりすぎ」を戒めることも合格の秘訣なのである。これは「ベテラン」受験生向けのことであるので、念のため》。

結局、意匠法の勉強は、定義・趣旨に現れる「異様」な言い回しを知っておかないと、得点に結びつかなかったような記憶がある。そういうことから、冒頭のように「どういう法律なんだよ」という感想に至ったということなのだろう。

ところで、弁理士の中で意匠を専門的にやっているという人の数は少ない。それだけで事務所を運営できない程度に出願件数が少ないというのでもなさそうだが、例えば中間処理でも、物品等の記載不備の拒絶理由への対処など、法律問題ならともかく、意匠が似てるとか似ていないとかの主張はかなりナイーブなもので、代理人が介入する余地がないことも多い(審査官を説得することはできるんだけれども)。要は、各クライアントが自社で行えてしまうケースが多いということだろう。そういうわけで、「意匠弁理士」というのはあまり需要がないと思われる。

>>>>意匠法の本。いずれも結構、入手困難みたい??

高田忠  「意匠」:

斎藤暸二 「意匠法概説」:

牛木理一 「意匠法の研究」:

中川淳(監修)「Q&A意匠法入門」:

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