« CSS | トップページ | 日本語のこと »

2006年4月 4日 (火)

[弁理士試験]判例の用法

しょっちゅう書いていることなんだけど、この試験はそれほどの難関ではない
そのために特殊な技能が要求されているわけでもなく、「普通に」勉強していれば当然のように合格できる。ただし、この「普通に」が難しい人もいるらしいんだなぁ。

▽例えば論文試験対策として判例を勉強するのはいいことだが、やりすぎは逆効果である。

敢えて試験対策ふうに分類していくならば、判例には、「絶対知ってないとダメ」という必修タイプと、「知っとくと便利」という推奨タイプと、「知らなくてよい」という「不要タイプとがあると思う。

必修タイプの典型例が
均等論に関する平成6年(オ)第1083号、いわゆる「ボールスプライン判決」や、
特許製品の並行輸入に関する平成7(オ)1988号、いわゆる「BBS事件」などである。

推奨タイプとしては、
最近のものであれば、専用実施権設定時の特許権者の権利行使の可否に関する事案(平成16(受)997号)や、
消尽論などを扱った平成17年(ネ)10021号(インクタンクリサイクルの事件)などが、まぁ、注目株だろうか。
古いところではリパーゼ判決や、審決合一確定の要請に関する判決などがあるが、こちらは少々古すぎかも知れない。

不要タイプというのは、基本的に試験に出しにくいタイプのもので、一般的な侵害訴訟の結果などがこれにあたる。例えば(事件番号を省略するが)トラニラスト製法事件のように民事訴訟法の問題に該当するもの(時機に遅れた攻撃防御方法に関わる判例)は、弁理士試験には馴染まないだろう。

こういう分類に対して難しいのが、平成10年(行ツ)第19号「黄桃育種法事件」のようなものだ。この事件自体は植物品種に固有の問題を扱っているので、そのままではおそらく試験に出しにくい。しかし論点だけ抜き出せば、試験問題として成立する余地がある。推奨タイプのすみっこに載せておきたいタイプの事案ではある。

実用新案の事案では、警告をせずに権利行使にでた事案が「推奨タイプ」だとおもう。意匠の事案には見るべきものが少ない。

翻って商標には見るべき事案が数多い。例えば、機能侵害の問題としての商標抹消事件等※、商品の問題としての「シャディ事件」などなど。到底ここでは紹介しきれないので、興味のある方々は、この本を参照されたい:

 

※リノCPU事件を挙げておりましたが、どうも記憶違いがあったようです。確認して再度事件名を挙げるようにいたします。

この本からもさらに判例を厳選する必要がありますがね。

いずれにしても、判例は厳選し、要旨を抜き出して覚えておくことが肝要である。そして試験の現場では、無理して判例に当てはめないこと。判例に沿って書いて欲しい場合は、試験問題にそういうシグナルがちゃんと書いてあるはずなので、そこを見逃さないこと。例えば、

「A社製品は、B社権利の技術的範囲に属している」

と書いてあるのに、均等論を論じるのはおかしい(でもそういう人が多いんだ)。一方で、

「A社製品は、B社特許権に係る特許請求の範囲の文言には含まれないが、」とか、


「B社は権利化の過程で、A社製品に用いられている部材とは異なることを進歩性の根拠として主張していた」とか、

要件に通じることが書いてあれば、均等論を論じて欲しいというシグナルの可能性がある。問題文のほかの要件から、均等論を論じられるかどうかをよく見極めてから、判例の結論を使っていこう。

そうだった。「インクタンク」の事件について、まだちゃんと読んでの感想を書いてなかった!

|

« CSS | トップページ | 日本語のこと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/165428/9421380

この記事へのトラックバック一覧です: [弁理士試験]判例の用法:

« CSS | トップページ | 日本語のこと »